研究概要

教員と学習者の身体的同調とは?

相手を理解するための心(情動)とからだの感覚を総称する概念として「身体性」という語を使用しています。研究代表者は、海外の認知科学及び神経科学では2000年代に入り潮流となった「身体性」という概念を、日本の教育現場に初めて導入し、その有効性を実証してきました。学習者が教員の口の動きやリズムに思わず同調するような指導法を開発することで、発音が効果的に習得されると考察しています。

本研究課題

身体性という概念を土台に、教員と学習者間に生まれる身体的同調が国際社会で通用する判明度の高い英語発音、つまり英語特有の音やリズムの体得に直結する過程を解明することです。その上で、指導者の英語の専門性に関係なく、学習者と教員の身体性を生かせる汎用的な指導法を開発することが本研究の課題です。

これまでの研究

発音指導のうち、プロソディ(いわゆる英語らしいリズムを作る要素と考えてください)に焦点化した研究として、「シラブル」「ストレス」指導のチャンツ教材開発から着手しました。リズムを使った指導法の開発とその成果を踏まえ、このたび取り組んだのが「個別の音」の指導法の開発です。

発音記号の重要性

日本の英語教育において発音記号の代わりにカタカナが主流となったことが、日本の学習者の発音が向上しない要因のひとつであり、発音記号を知らない英語教員も出てきています。「自律的学習者になるためには発音記号が必要」との立場から、誰でにでも発音記号指導ができる/発音記号を習得できる、そんな教材の開発に取り組みました。これまで、小中高の教員、中学生、大学生を対象に実証授業を行い、効果が検証されました。

発音記号教材の対象者

発音記号教材は、小中高大すべての校種の教員に教材として授業で活用できるよう想定されています。また、教員あるいは学生が自分の発音記号習得のために独学用に使用することも可能です。

お問い合わせについて

本基盤研究についてのお問合せ:re_yamam@kufs.ac.jpまでお願いします。

研究チーム

研究代表者

  • 山本玲子
    京都外国語大学・短期大学キャリア英語科教授
    博士(言語文化学)

共同研究者

  • 里井久輝
    龍谷大学理工学部教授
    博士(教育学)
  • 眞崎克彦
    神戸親和女子大学発達教育学部児童教育学科教授
    博士(外国語教育学)

本研究は、以下の助成を受けています

  • JSPS科研費(基盤研究(C)平成26年度~平成29年度課題番号26370645)「外国語学習における学習者と教員の共振動化を実現する空間創出のための方法論の研究」
  • JSPS科研費(基盤研究(C)平成30年度~令和3年度課題番号18K00860)「教員と学習者間の身体的同調を生かした音声指導法の開発」
  • 京都外国語大学国際言語平和研究所出版助成金(令和2年度)
科研費